Zero to one


第一章
創業初期を振り返り
社長からのメッセージ

株式会社ツインズ 代表取締役社長
梶原隆司

1967年5月25日、兵庫県尼崎市で次男として生を受ける。1975年頃から外資系化粧品会社勤務だった父親の転勤で東京都調布市や練馬区上石神井へ移り住む。1988年~1990年までオーストラリアでワーキングホリデーを経験し英語を習得。1993年頃に家電部品メーカー ハマダ精電舎へ入社、内営業、香港・中国に駐在して工場設立担当。1999年に当社創業。趣味ゴルフ、旅行。

創業のきっかけ

1999年4月に千葉県船橋市に誕生した株式会社ツインズは、創業24年を迎えることになりました(2023年4月現在)。当時勤めていたホットプレートなどに使用する温度調節器の部品メーカーが倒産してしまい、私は妻と相談の上、起業を決意しました。生まれたばかりの双子の子どもを養い、購入したばかりの一軒家のローンを抱え、本当にこれからどうしていけば良いのか思い悩みました。しかし、商売人だった父親を見て育った私は、その逆境によって起業家精神に火が付いたのでした。
会社設立には300万円の費用が必要であったため、苦しい家計から80万円を捻出し、残りの220万円をどうするか試行錯誤していると、会社員時代に取引のあった香港企業のルージー・リー社長が救いの手を差し伸べてくれました。「倒産した会社工場の設備を600万円で購入したいので、240万円を先に振り込んで貸し付ける」と言ってくれたのです。その預入金で有限会社ツインズを起ち上げることができました。社名の「ツインズ」は双子の子どもにちなんで命名したものです。

初めての商いで中古設備を販売

起業間もない頃は取引先も少なく、事業拡大のための行動資金を作るだけで精一杯でした。そのため、塾の講師や国際電話を取り次ぐオペレーターのアルバイトをしながら生計を立てました。昼間のツインズでの仕事を終え、夜9時から朝6時まで電話オペレーターの仕事をし、仮眠は1時間といった生活を1年間ほど続けました。

会社員時代には香港に駐在し、中国広東省の工場と日本とを行き来していた私は、日本の製造業の中古設備を中国の工場に販売することを思いつきました。倒産した家電メーカーで使用していたプラスチック成型機などを管財人(弁護士)経由で購入し、中国に輸出をしたのです。必死だった私は製造業の協会名簿に片っ端から電話をして不要とされた設備を購入していきました。
機械設備は、ひとつ売れれば大きな金額になります。初年度の売上は5000万円となり、2年目は3000万円、3年目には1 億円を超えました。

OEM家電販売へ進出

中古設備の販売で売上を確保しながら、調理家電の販売を始めました。会社員時代に出入りしていた家電量販店や新規顧客を対象にO E M(オリジナルブランドではなく、相手先ブランドとしての製造)商品を売り込んでいきました。O E Mは在庫を持つ必要がなく、納期と品質さえ条件に合えば成立するビジネスです。
起動に乗りつつあったOEM製造販売事業でしたが、得意先のT社が調理家電からの撤退を決めました。そこでその得意先からは発注が全く無くなってしまったのです。
弊社に非があるわけでもないのに、取引先の一方的な都合で注文が一気にゼロになってしまう。自社で在庫を抱えなくてもよい反面、OEMのリスクをこの時痛感しました。

オリジナル家電への挑戦。そして在庫を抱えた失敗

オリジナル家電メーカーとなることを目指し、特許取得の暖房器具や、果実から果汁を絞り出すジューサー、扇風機と空気循環器の複合機などを打ち出しました。これらの商品の良さが伝わりやすい「TVショッピング」に出展して販売ルートを確立してきました。
ブランド力がない分、本当に「顧客のニーズ」を満たす商品開発にこだわり、マーケット・インの手法で成功をしてきたのです。

創業5年目のことです。これはいける!と思った台湾メーカーが製造するエコ暖房機の日本総代理店契約を結びました。2万台ほど購入したのですが、結果は惨敗に終わりました。最低でも1万台は売れるであろうとの予想に反し、2000台ほどしか売れなかったのです。売れ残った1万8000台は新潟の倉庫に高く積まれ、それを見るたびに重い気持ちになりました。
3~4年かけて、この商品をほぼ原価で売切りました。問屋さんに足を運び、頭を下げて、なんとかこの苦境を乗り越えることができました。若いながらに苦労して大変だなぁ、がんばれよ、といった気持ちで数社が何百台ずつかを買い取ってくれたました。その頃から「足と行動力」を使った「肉体派経営者」だと取引先で評判になり始めたのです。

進むべき方向に転機が訪れた新商品

2013年くらいまで数々の失敗と成功を繰り返した私は、精神・技術・身体の三要素「心技体」に立ち返りました。「健全な身体にのみ、健全な精神・思考が宿る、体・心・技」をモットーに、この頃からランニングを始めます。
そのことが、後々に会社の転機となる商品「キャタピラン」の発明へと繋がっていったのでした。


第ニ章
2000年~2006年の商品
商品① 6本が1本に特許ドライバー『システムドライバー6』( 2000年)

コンパクトなハンドル1本に6種類のビットを内臓し、バラさず内部で交換できる便利機能ドライバー。用途に合わせた5 種類を販売。日本を含む世界特許(日本特許No .1839734、米国特許No. 4463788)を取得している。愛車の車載工具、日曜大工に最適でこのセットが1つあれば全てのネジ、ボルト・ナット作業が迅速且つ正確にできる。紹介動画はこちら

商品② ネクタイ整理に超便利『電動ネクタイラック』(2001年)

男女兼用で72本のネクタイ+10本以上のベルト、スカーフが収納できるアイテム。お洒落なイタリアンデザインで幅はわずか13cm。マイナスイオンを本体表面に塗布してあるので、クローゼット内の脱臭効果もあり。単2乾電池4本で作動し電源アダプタ不要。フライト機内販売での売れ行きが好調で、当時弊社代表の家計を支えてくれた思い出の深い商品。

商品③ 目のリラクゼーション『アイメイト』(2002年)

疲れた眼をリフレッシュする保養機器。メディカルシリコン樹脂を使用し、先端に配置された22個の永久磁石で眼のまわりのツボを心地よく刺激。15種類のバイブレーションモードをワンタッチで操作でき、4種類のヒーリングサウンドも聴けて、室内に居ながらリゾート気分を再現。特撮テレビドラマ『ミラーマン』を彷彿させるためか、代表自ら宣伝を兼ねて新幹線内などで使用すると失笑を買う事もあった。

商品④ ボルト締め革命『ラチェットモンキー』(2003年)

従来品とは異なるラチェット機能により作業効率が大幅にアップ。短いスタビータイプで狭い場所に最適。また、PRO版は角度調整も可能。鍛造加工(アゴ部)の高スペックは業界初で高強度を実現(当社比)。ワイドな開口部は最大32mm。グリップも特殊形状で、滑りにくい仕様。また、ラチェット機能のオン・オフをワンタッチ切替可能。紹介動画はこちら

商品⑤ 軽量鉄鋳物フライパン『 FE宣言』(2004年)

鉄鋳物フライパンを極限まで軽量化した自信作。アルミ製に比べ蓄熱性が高く、熱し易く冷めにくいので経済的。2分前後で中心温度が200℃にまであがり、なおかつフライパンの温度分布にムラがでない優れもの。鋳造フライパン成分の鉄と炭のすきまから内部に油が浸透し表面に皮膜を作ることにより、使う頻度が多いほど焦げ付きにくくなる。皮膜が錆の発生も防ぎ、現代人に不足しがちな鉄分を補給可能。紹介動画はこちら

商品⑥ 水を使ったラジエーターヒーター『AQUATOR』(2005年)

オイル不使用の環境エコな暖房器具。従来のオイルラジエターヒーターでは年間3000万ℓのオイルを使い、資源の浪費や廃棄は環境問題化しているが、このアクアヒーターは、アクア(無公害の水)をラジエターヒーターの主流としており、廃棄やエネルギーの無駄遣いを解決。速暖機能を採用し、新ヒーターエレメントで発熱効果をアップ。サ-モのON-Off動作が少なく、雑音が少ないのが特長。

商品⑦ 抗菌密閉容器『 ナノシルバーネオ』(2006年)

ナノ銀を本体へ練りこみ、強力な抗菌抗菌を可能にした密閉保存容器ナノシルバー「フードコンテナ」。100万回の開閉テストをパスし、4箇所ロックで強力密閉。食器洗機も使用可能。汁漏れやにおい漏れしづらく、アウトドア・BBQ食材にも最適。丸型や小型サイズなど用途に合わせて数種類を用意。抗菌製品技術協議会が制定したシンボルマークSIAAマークも取得済。医学博士からの推薦も得ている優れもの。


第三章
2006~2012年の商品
商品⑧ 遠赤外線で焼く『石焼やっくん』(2006年)

麦飯石を利用した鋼板ホーロー焼いも鍋。麦飯石が大量の遠赤外線を放出し、食材の中までふっくらとジューシーな食感を実現。付属の底上げ網やアルミ箔トレイを使用すれば、油分や水分が出る食材も納得の仕上がり。肉、魚はもちろん、野菜全般にも対応。ウッドチップを使えば燻製作りも可能で、料理の幅が広がること間違いなし。ネット付なので、麦飯石は簡単に洗えて保存が可能。

商品⑨ 省エネハニカムヒーター『 エコロミー1&2&スーパー』(2007年/2010年/2013年)

当リフレクトヒーターは世界初のハニカム反射板(特許出願中)を採用した次世代ヒーター。驚きの反射効果が得られ、400Wのヒーターで800W以上の暖かさを実現。800Wのハロゲンストーブと比べて、年間5ヶ月間、1日6時間使用した場合、電気代が5280円ほど割安に抑えられ、エコでありながらも経済的。7年間に渡りエコロミー1、2、スーパーと全5機種までバージョンアップを繰り返し進化した。

商品⑩ 超吸水『 マジックダスター』(2009年)

キッチン周りや愛車の洗車、部屋での水こぼしとあらゆるシーンで活躍する超給水シート。厚さは約3.5cmあり、当商品1枚で約700ccの水を吸収でき、コップ1杯程度の水なら簡単に拭き取ることが可能。また、女性でも簡単に絞れる繊維構造で、絞れば直ぐに吸水力が回復し、洗濯機で洗うこともできて何度でも使用可能。窓の結露や食器拭きとして、またペット用のタオルとしてなど多目的で使える商品。紹介動画はこちら

商品⑪ 床・畳み掃除はこれ1本で!『マジックスウィーパー』(2010年)

充電式の未来型掃除用具。重さが約1Kgと超軽量でコードスなため、他の部屋に移動しながら掃除を進めることが可能。柄の部分が折り曲がり、ヘッドの4辺それぞれに吸引回転ブラシが付いており、ヘッドが360度回転。ベッド下やテーブル下など狭い場所もラクラク綺麗に。畳もフローリングも両方対応で、収納時は幅がわずか7cmまで縮小。ゴミ捨てもワンタッチでOKなので、掃除が楽しくなること間違いなし。紹介動画はこちら

商品⑫ 次世代DC扇風機『 ミコノス リーフ・シェル』(2011年)

航空力学に基づいた10枚羽根『AERO FAN』を採用。従来の扇風機と比べ、羽根枚数5枚⇒10枚、直径300㎜⇒330㎜に変更し、やわらかい風をより遠くへ飛ばす事が可能に。一般的にはACモーターが主流であるのに対し、当製品はDCモーターを搭載することにより、逆回転機能を実現。本体後方への送風が可能なため、室内の空気循環や熱気、煙、匂い等の室内換気に効果を発揮。紹介動画はこちら

商品⑬ 次世代グラインダージューサー『 VegBeat』(2012年)

従来型のミキサーと異なり、底にある食材をパイプで上部に送り循環させながら磨り潰す構造を採用。従来型よりも細かく粉砕することで、体内への栄養吸収を更に促進。1分間3000回の低速回転で食材への熱伝導を抑え、酵素やビタミンCの低減も回避。ディスペンサーから簡単に中身を注ぐことも可能。お手入れ簡単ブラシの付属で後片付けも楽々。料理山研究所・山崎志保氏が監修した88種類のレシピ本付き。紹介動画はこちら

商品⑭ 魔法のフライパン『ながおパン』(2012年)

揚げ・蒸し・煮詰めに対応する多機能鍋。蓋をして調理することにより、鍋内の温度が通常より90度以上も高くなるため、少量の油でしかも時短調理を実現。エコでヘルシーなだけではなく、油ハネが少なくなり火傷リスクと清掃の負担も軽減。食材から出た余分な水分は特殊構造のリングに溜まり噴きこぼれをなくし、食材が水っぽくなるのを抑制。付属のメニューブックには調理レシピが満載。紹介動画はこちら


第四章
2012~2018年の商品
商品⑮ マッサージクッション『モーミン発売』(2012年)

一見は可愛いクッションだが、ひっくり返せば本格マッサージャーに早変わりする商品。4つのもみ玉が回転し、疲れた箇所をマッサージ。ボタンひとつでスイッチ開閉ができ、向きを変えればモミ上げ、モミ下げの調節が可能。もみ玉は暖め機能もあり、身体の血行促進を後押し。心地よい肌触りのふわふわ生地と低反発素材を採用し、クッションそのものとしても高い完成度。インテリアを邪魔しない4色を用意。紹介動画はこちら

商品⑯ 油を使わないフライヤー『 イージーフライヤー』(2013年)

油を使わないのに、高温対流によって油で揚げたような仕上がりが実現する調理機器。食材を本体に入れ、温度とタイマーをセットすれば、あとは自動調理のため、その場を離れて他のことに時間を充てることが可能。本体上下で開閉する事ができ、お手入れは簡単で、バスケットが入っていない状態では作動しない安心設計。揚物本来のサクサクした食感は残りつつも、食材そのものの脂分が底に溜まるヘルシー仕様。紹介動画はこちら

商品⑰ 移動式大容量物干し『干しーな』(2013年)

用途に合わせて自由に形が変形可能な移動式大容量物干し器具。小量から大量物干しまで一台で対応可能。キャスター付きの移動式なので室内から室外までお好みの場所に設置OK!ハンガーなどを掛ける部分もたくさんあり、部屋の中でもたっぷり干せるので、梅雨時期や台風時の室内干しに便利。組み立ては工具不要で簡単、使わない時に折り畳めば、幅はわずか15cmと場所要らず。

商品⑱ マルチに大活躍『どこでもバケツ』(2013年)

収納時には厚さが2.5~5cmにまで折り畳めて、持ち運びに便利な万能バケツ。内側は特殊樹脂加工の防水仕様で液体漏れの心配は一切無用。災害、アウトドア、釣り、洗車、ガーデニング、代用カゴなど、ありとあらゆるシーンで大活躍。折り畳める効率化が相まって、ガテン系の職人さんにも人気の商品。サイズは3.5ℓ、9ℓ、11ℓの3種類をご用意。便利なキャリーケース付きで、化粧箱入りギフト用セットも販売。

商品⑲ 高輝度LED充電ライト『取るとライト』(2015年)

電気ソケットからも充電できる乾電池不要の懐中電灯。高輝度LED充電ライトを採用し、直接コンセントプラグに挿したり、電球として電燈に装着したりすれば、常備灯として使用可能。
暗闇で光を放出する蓄光塗料付なので停電でも本体の所在がわかり易く、地震や災害時に備えておきたい1本。キャップとストラップを使用して首から掛けたり、テントに吊るしたりすれば、アウトドアでも大活躍。紹介動画はこちら

商品⑳ マルチ給水機『ツインウォーターサーバー』(2016年)

外国では一般的なウォーターサーバーを日本市場向けにコンパクトにアレンジした商品。お茶を入れるお湯も、冷たい水もこれ一台で供給可能。電源さえあれば、設置場所はどこでもOK。広口タンクはお手入れ楽々で、水切り・水受けトレイは取り外しできて洗える仕様。専用整水フィルターは水道水の塩素を除去してカルシウム豊富な水に変える働きがあり、約半年使えるので経済的。

商品㉑ 米国発世界累計販売数2000万個ジューサー『NUTRIBULET』(2018年)

2012年にアメリカで発売開始された「NUTRIBULLET」はブレンダーの中でもトップクラスのハイパワー900W。性能の高さ・使い勝手の良さ・コンパクトさが高く評価されて、アメリカではスムージーの代名詞となっているブランド。お手入れ簡単なスリムなフォルムが受けて瞬く間に世界100ヵ国に拡大し、今では累計約2900万台の販売実績がある。弊社はこの「NUTRIBULLET」の総代理店として販売権を獲得。紹介動画はこちら

商品㉒ エアフットマッサージャー『柔足』(2018年)

痛いけど、やみつきになる気持ち良さを提供するエアフットマッサージャー。すね外側、ふくらはぎ裏、足首周り、かかと、アキレス腱周りなど、脚のあらゆる箇所に対応。内蔵されたエアバックが疲れた部位を「狙い揉み」。椅子に座りながらはもちろん、寝ながらでも使用でき、好きな時に好きな体勢で使えると好評。面倒な装着作業も不要で、軽くて取っ手付きのため、動かしやすく場所も選ばない。紹介動画はこちら


第五章
会社の方向性を変えた商品
結ばない靴ひも『キャタピラン』

社長が語る商品の開発の物語。この商品で家電OEM販売から『人と健康のインターフェイス』を目指す企業へと進化

日常生活から拾い得たヒントから開発に着手

私が靴ひも開発に興味を持ったきっかけは、行きつけのスポーツジムでフランス製の靴ひもを見かけたことからでした。2500円と高額な値段設定にも驚きましたが、ゴム製で通常の靴ひもとは異なり、伸縮して靴を着脱しやすい造りに注目しました。そこで思い浮かべたのが、小さい頃からサッカーをしている自分の息子です。安くはないスポーツシューズを買い与えても、すぐにかかとを踏んでしまうため、私は口うるさく「かかとは踏むな」と言い続けていました。
商品開発の基本は、「困っていることを解決する」ことだと思います。締まり具合の調節ができて、しかも結ばずに脱いだり履いたりできる靴ひもがあれば、子ども達はかかとを踏まなくなるのではないだろうか、そんな靴ひもを作ることはできないだろうか、と考えました。それから、とりつかれたように靴ひもの開発を始めたのです。
製造工場のある中国に向かい、箱から溢れ出るほどの靴ひもを抱えて帰国しました。靴ひもを手に持ち引っ張たり縮めたりを繰り返し、楽しそうにしている私の姿は、社員たちには奇妙に映ったかも知れません。家電製品を開発・販売してきた弊社は、靴ひもなどのスポーツ用品に携わったことがなかったので、販路のあてもありませんでした。しかし、当時の私の心の根底にあったのは、「絶対に良い商品を作ってやるぞ!」という想いでした。良いものさえできれば必ず売れると確信していたのです。

「結ばない靴ひも」を開発するために、中国にある繊維工場とのやりとりが始まりました。私はフランス製の靴ひもを先方に送り、そのコンセプトをもとに何度も何度もサンプルと意見を擦り合わせ、改良を重ねました。

この伸縮する靴ひもは、8本のゴムと16本のナイロンを編み合わせて作ります。開発上で難しかったのが、コブの大きさと強度の調整です。スポーツメーカーのシューズは靴ひもを通す穴の直径が各社違います。市販されているほぼすべての靴に対応する必要があったため、30足以上の靴を購入して研究しました。ミリ単位でこぶの大きさや強度を調整していったのです。
こうして、おおよそ2年半かけて完成したのが「キャタピラン」でした。完成までの間、研究で「ボツ」になった試作品はなんと、段ボール3カートン分にも及びました。

健康・運動ブームが追い風となる

キャタピランのヒットの思わぬ火付け役となったのが「マラソンブーム」でした。2013年3月、商品発表会に参加してくださったあるウルトラマラソンランナーに、キャタピランは「非常に良い!」と絶賛されました。通常の靴ひもは全体をきつく締めるかゆるく締めるかの二者択一ですが、キャタピランは靴の各部分ごとにきつくもゆるくも閉められます。それにより足へのフィット感が増すことを評価してくださったのです。
実際に、そのウルトラランナーに通常の靴ひもとキャタピランとを付けたシューズを片足ずつに履いてもらい、ランニングテストを行いまいした。5Kmを過ぎたあたりから、「ふくらはぎの張りが明らかに違う」とのコメントを頂きました。
プロのランナーから足への負担軽減のお墨付きをもらい、「これはいける!」と確信を持ち、一気にランニング仕様に力を入れました。
ランニングブームの真っ只中、キャタピランはメディアで取り上げられて注目を浴び、全国のスポーツシューズを販売している主要ショップへの販路を確立することができました。2014年2月には、第8回目となる東京マラソン開催の影響もあり、1ヶ月で13万本が売れました。商品製造が追いつかなくなり、メーカーとしては決して良いことではないのですが、「嬉しい欠品」が続きました。

多くの人から感謝される商品に成長

キャタピランを購入してくださった消費者の方々から届く「感謝のメッセージ」も我々を鼓舞して止みませんでした。例えば、若者に人気のバスケットボールシューズ「エアジョーダン」シリーズをたくさん持っているが、脳梗塞で倒れて、片手が不自由になってしまってからは、履くことを諦めていた。しかし、キャタピランと出会ったおかげでお気に入りの靴をまた履くことができた。また、ダウン症のお子さんがいるお母様からは、運動会の徒競走で靴ひもがほどけてしまって、お子さんが自分で結べないので悔しい想いをした。しかし、キャタピランならばお子さんが自分で靴を履けるので非常に嬉しいといった喜びの声です。

これからも人々の健康に携わる企業を目指し

我々は開発メーカーとして「良い商品を作り、お客様に喜んでもらいたい」という想いで家電開発を続けてきました。「結ばない靴ひも」の開発に成功してからは、家電事業よりいっそうお客様の想いに寄り添えることができるのが、キャタピランを始めとする「健康・運動商品事業」だと感じています。
今後も品質や安全性の向上や社会貢献など、企業としての責務を果たすと共に、時代とともに変化するライフスタイルを見極め、ツインズの商品を通じて人々を元気に、快適にできる世の中づくりに貢献していきたいと思います。


第六章
そして進化し続ける
キャタピラン
キャタピラン ブランドとして生まれた商品たち
キャタピーゴルフ

ゴルフ用モデルとして、坂の多い地形やフルスイング時のテンションに耐えられるように、ゴムの強度を2倍に改良。ジャンボ尾崎こと尾崎将司氏の弟であるジェット尾崎氏からアドバイスを得て共同開発。朝露や雨天にも対応できる撥水加工で、ゴルファーのナイスショットをサポート。紹介動画はこちら

キャタピラン+

2018年には日本生産に切り替えてバージョンアップを果たしたキャタピラン・プラス。100名以上にモニタリングテストを行い、改良を実現。コブ形状を真円からラグビーボール状に近づけて紐穴により通し易くし、素材を変更することにより、柔らかさを保ちつつも一定のテンションや強度を確保。通常タイプ以外にも、普段の生活に向いているキャタピーエアーや、より激しい動きや負荷に対応できるキャタピーアスリートの2タイプも発表。紹介動画はこちら


第七章
『キャタピラン』から始まった
健康・運動商品開発・販売
商品㉓ 突起のついたバランスボール『BEE BALOON』(2020年)

エクササイズ用バランスボールに突起(HOLD BUMP)を付けた商品。突起を太ももで挟んで運動することにより、内転筋を鍛えることができ、しかも安定力がアップするのでお尻がボールからズレ落ちることを回避。運動のバリエーションも豊富で股関節ストレッチ、ボール上で弾みながらスクワット、骨盤くねくね運動、スライド腹筋運動などアイデア次第で無限に広がる。女性からは美脚効果ありとの定評も。紹介動画はこちら

商品㉔ 家庭用EMS『CARE WAVE』(2020年)

強度10段階のEMS「Electrical Muscle Stimulation(電気筋肉刺激)」により、筋肉を電気刺激で自分の意志とは関係なく収縮させることで、ストレッチを実現。6つの周波数(1000Hz~6000Hz)で表層筋から深層筋までの筋肉を刺激する。運動前は表層筋に刺激を入れて筋肉を呼び起こしスムースな動きをサポートし、運動後には深層筋を刺激してカラダを動かさずとも筋肉ストレッチでボディケアを行う。筋肉内で熱生産を起こし、代謝アップも期待できる。

商品㉕ さすりマッサージャー『HANDY-DrⅡ』(2020年)

痛くない「さすり」マッサージャーは肘や膝などの間接をサポート。鎖骨周りに使用すれば、肩と腕をつなぐ胸郭出口(鎖骨と肋骨の間)をさすって可動域を広くし、肩を回し易くしてくれる。ウレタンパッドの平面をお腹に当ててさすれば、摩擦熱で効率的に血行を促進。ふくらはぎ~膝周り~太ももの内側を挟みながら内側を往復させての同時マッサージも心地よい。毎分1300回転で人の手では実現できないくつろぎを提供。紹介動画はこちら

商品㉖ フラダンスエクササイズチェア『HuLaLa』(2020年)

座りながらフラダンスのような腰の円運動で凝り固まった骨盤周りの筋肉を緩める商品。腰周りの筋肉が柔らかくなると、筋肉の可動域が広がり代謝アップに繋がり、腰周りのぜい肉もすっきりと。座ってのエクササイズなので足首と膝周りも同時に動かし、体重への負荷が分散。無理なく続けることができる。回転オフにすれば椅子に早変わりで、出し入れの面倒や電源も無いので、思いついたときにいつでも使える。紹介動画はこちら

商品㉗ 寝るだけストレッチ『Surf Air』(2020年)

自分一人ではなかなか難しい動き「寝るだけストレッチ」で美姿勢と美腹エクササイズを実現する器具。仰向けに寝てお尻や肩甲骨に当製品をあて、上下伸ばし、左右のひねり伸ばしで可動域を拡大。可動域の拡大により代謝促進につながり、痩せやすい身体に変身。猫背矯正や高齢の方の身長減少対策にも使って欲しい商品。軽量・スリム・コンパクトで持ち運びも楽々。バイブレーションモードで至福の時を。

商品㉘ スポーツ用骨盤ベルト『Running Stabilizer』(2021年)

ランニング用の骨盤サポートベルトは、安定したランニングフォームを手に入れる為のスポーツベルト。一般的なランニングベルトよりも強度を上げて、ランニング時に最適な締め付け強度を実現。左右の切り抜きに合わせて装着することで、フィット感とズレにくさを促進。肌に直接装着することで、よりフィット感が向上するのでランニング以外にも使用でき、姿勢補正器具としても。

商品㉙ 次世代テンション可変靴紐『 MAGIC LACE』(2021年)

テンション可変HIMO(紐)は、1本の靴紐の中に部分ごとに異なるテンションを持たせた特許商品(特許第6425364号)。足首部は伸縮を無くして固定し、前足部は伸縮を持たせることにより、足裏の接地面積を増やすことに成功。靴の履き心地をより裸足感覚に近づけ、シューズのずれも軽減。ほどけにくく、フィット感がUPし、長時間の運動でも疲れにくくなる。全てのスポーツマン・ウーマンのパフォーマンスを上げる性能を提供。紹介動画はこちら

商品㉚ マッサージガンシェアNO.1『HYPERICE』(2021年)

ハンドドリルのような形をしたマッサージガンと呼ばれる電動マッサージ機器。強力な振動を生む仕様は特許取得済みの「Quiet Glide テクノロジー」。2010年にアメリカ・カリフォルニア州で設立し、現在では世界60ヵ国で商品を販売。多くのトップアスリート、トレーナーと共に開発した、世界最高レベルの疲労回復・怪我防止・運動強化を目的とした商品を展開するブランド。2021年より弊社が日本国内総代理店に。

HYPERICEアスリートアンバサダー


第八章
『健康経営』をめざして
社内取り組み紹介

健康経営宣言

株式会社ツインズは、従業員一人ひとりが心身共に健全であることが企業の更なる成長につながり、元気な会社づくりの推進力になると考えています。
マラソン大会出場を奨励したり、その他のスポーツイベントへの積極的参加にも取り組んでいます。
今後は更に従業員の健康増進と意識向上を目指して『健康経営』に取組んでまいります。
「健康経営優良法人2022」に認定
株式会社ツインズは2022年3月9日、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人制度」より、中小規模法人部門において「健康経営優良法人2022」に認定されました。
健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している企業を顕彰する制度です。

“人と健康のインターフェイス・きっかけ作り”をコンセプトに、多数のスポーツ・健康用品の開発、販売を手掛ける当社は、社員一人ひとりが健康で安心して活躍できる職場づくりに積極的に取り組んでいます。
今回の認定を受け、今後も尚一層、健康経営への取り組みを推進してまいります。

特許一覧

認定表・賞状

取材日 : 2022年7月15日